メインキャラクター紹介

国崎往人
この物語の主人公。
幼少時に母から託された言葉「空にいる少女」が影響を受け、
その意味を捜し求めるため、放浪の日々を送っている。
旅を続ける若者。手を触れもせず人形を動かすことができる。
資金は主に親から受け継いだ「方術」を用いた人形芸で稼いでいる。
ひょんなことからとある田舎町に降り立った彼は海岸で一人の少女と出会う・・・。

俺は地面に降り立つ。 もわっとした熱気とバスの残した排気に包まれる。 立ちくらみを覚え、目を閉じる。 遠ざかってゆくバスのエンジン音が聞こえなくなると、 入れ替わりセミの大群の声が押し寄せてきた。 息を吸うと、湖の匂いが鼻をつく。 陽光は何にも遮られることなく首筋を焼き続けていた。 俺はゆっくり目を開ける。 広がるのは、見知らぬ土地の夏の光景。 「ど田舎だ……」 俺はバス停のベンチに腰を下ろす。 「ふぅ……」 「で……なんだ。 俺はこんなところで何をしているんだ……」 暑さで思考がうまく回らない。 「ラーメンセットひとつ」 ……違う。 そっか…… 「金が底を尽きたんだった」 それで、こんなへんぴな町で下車することになったんだ。 そもそも飯を食う金さえもない。 ラーメンセットなんて、夢のまた夢だ。 となれば、稼ぐしかない。 ズボンの後ろのポケットに突っ込んであった人形を取り出した。

神尾観鈴
観鈴はいつでも空を見つめているような少女だった。
主人公との出会いのときもそう。
「そこにもうひとりの自分がいる気がして」
やがて彼女は、その言葉通りに空に居る自分の夢を見始める。
それからは毎晩のように見続け、
やがてその夢がどこかに向かっていることを知る。
その先に観鈴は何を見るのだろうか。

【観鈴】「はぁーっ、気持ちいい」 【往人】「余裕だな。おまえ、不良生徒だろ」 【観鈴】「そんなことないない」 ぱたぱたと手を振る。 【観鈴】「ま、友達は少ないけどね」 【観鈴】「にははっ」 【往人】「出会ったときも、そこでそうしていたな」 【観鈴】「うん」 【観鈴】「空はね、小さい頃から、ずっと思いを馳せてた」 【往人】「どうして」 【観鈴】「わかんない。ただ…」 【観鈴】「もうひとりのわたしが、そこにいる そんな気がして…」

遠野美凪
町を出るための路銀を稼ぐまでの間、
ひとけの無い駅舎に寝泊まりをする主人公と、そこに現れた二人の少女。
素性の知れない主人公のために、毎日お弁当を届けに来る少女の名は遠野美凪。
そして、突然現れた主人公に対して、ことあるごとに敵対心を燃やす美凪の親友みちる。
二人は何をするでもなく、夕暮れ、一番星が夜空に輝くまで遊び、
夜の訪れとともに去ってゆく。
たったそれだけの毎日。幸せそうに見えた毎日。
でも、少女は知っていた。
この幸せな毎日が、いつかは覚める夢でしかないことを。

【みちる】「おぉぉーーー」 【みちる】「すごーい、いっぱい飛んだー」 【美凪】「…きれいでしょ…シャボン玉」 【みちる】「うんっ」 【みちる】「なんか、きれいな色してて、くるくるまわってるっ」 【美凪】「…そうね」 【美凪】「…くるくるまわってて…お空と同じ色してるね」 【みちる】「へへ〜、くるくる♪」 【美凪】「…それじゃあ…もう1個飛ばすね。ふぅ〜…」 【みちる】「おおおぉぉーーー」

霧島佳乃
ひょんなことから知った町の小さな診療所。
そこでは姉妹が二人暮らしをしていた。
明るくて動物好きの霧島佳乃（かの）と、姉で町医者の聖（ひじり）。
二人に気に入られた往人は、診療所の仕事を住み込みで手伝うことになる。
患者のほとんど来ないのどかな待合室。
この町の空気に徐々に馴染んでいく往人。
だがそんな折、佳乃の身に異変が起こる・・・

【佳乃】「わぁ…きれいな月だねぇ」 【ポテト】「ぴこ」 【佳乃】「ポテトもそう思う？」 【佳乃】「風も気持ちいいし、ちょっと得した気分」 【ポテト】「ぴこぴこ」 【佳乃】「うんっ、そうそう」 【佳乃】「やっぱり、こんな夜はこうして外に出ないともったいないよねぇ」 【ポテト】「ぴこ」 【佳乃】「なに？同感だって？」 【佳乃】「ふふー、気が合いましたぁ」

サブキャラクター紹介

神尾晴子
自堕落な生活を常とする、観鈴の母親。
学生の観鈴とは生活時間がまるで合わず、
すれ違いの毎日を過ごしている。
酒を飲むことが今のところ一番の幸せ。

霧島聖
佳乃の姉で、診療所の医師。
キャリアは浅いが、医者としての腕は悪くない。
妹の佳乃を大事に思うあまり、
極端な行動に走ることがある。

みちる
一切の素性が定かではない元気な少女。
遠野美凪の親友で、彼女を心から慕っている。
美凪に教えてもらったシャボン玉遊びが大好き。

ポテト
佳乃とよく一緒にいる謎の犬。
「ぴーこぴーこ」が口癖。